「10年先の未来を生きるアートコレクターの隠れ家」をコンセプトに、未来のアートファンのために設計された宿泊型の企画展ギャラリー。他のART ROOMとは異なり、6ヶ月毎にディレクターやアーティスト、テーマや作品が入れ替わる。未来のコレクターのワークスペース兼仮宿である”vault703,803”には、その時代に活躍するアーティスト達の作品が所蔵され、飾ったり保管してあったり、無造作に置かれていたり。宿泊ゲストは幸運にも部屋のKEYを借りて訪れた彼の友人である。作品は一部購入可能になっており、その販売方法やアートの価値付け、アーティストへの価値還元においても実験的な試みが用意されている。

Current Exhibition (TILL SPRING 2023)

「moderate」

Artist: 中村穣二, Hiraparr Wilson
curator: 田窪直樹/Naoki Takubo

今期のvault 703は、大阪にてPulp及びPOLといったスペースのギャラリーディレクターを務める田窪直樹のキュレーションによって、アーティストの中村穣二とHiraparr Wilsonの即興的なドローイングを中心としたアートルームを制作。


大胆で有機的な線、感じたままに盛られる形。
手技は原始的でありながら、纏う色はポップで現在的。
そこに表出したキャラクターは宇宙的/未来的で、オーパーツじみた違和感を醸す作品群。

初めて画材を手にしたにも関わらず、脳内に浮かぶフレッシュで、でもまだ不完全なイメージを忠実に表現した子供のような。
完成された美しさを目指すのではなく、かといってプリミティブなだけではない、"程よい粗野を研ぎ上げる"二人が作り上げる世界は幅位広い時間軸を持ち、様々な焦点を持たせてくれる。

本展キュレーター　田窪直樹(Pulp)